謎の女子高生シンガー・tuki. SNSから紅白へ、Z世代のカリスマ誕生秘話

 いま音楽シーンで最も注目を集める現役女子高生シンガーソングライター、tuki.(ツキ)。顔も本名も非公開、現役高校生という素顔をベールに包みながら、TikTokから爆発的なバイラルヒットを生み出し、紅白出場まで果たした彼女の軌跡と、知られざる裏話・エピソードをたっぷりお届けします。

TikTok発、神秘の歌姫誕生

tuki.が音楽シーンに突如現れたのは、13歳のとき。TikTokに弾き語り動画を投稿し始めたのがきっかけでした。初投稿は2022年4月17日、当時は「#中2」「#13歳」とハッシュタグをつけて30秒ほどの短い動画をアップ。これが「これで中2?上手すぎる」「伝説の始まりだ」とSNSで大反響を呼び、瞬く間にフォロワーが増加。

その後も月1~2回のペースでカバーやオリジナル楽曲を投稿。ボカロPの楽曲から尾崎豊まで、ジャンルを問わず幅広い楽曲に挑戦し、そのたびに「tuki.のオリジナル曲?」と勘違いされるほど、情感豊かな歌声と表現力でリスナーを魅了していきました。

「晩餐歌」誕生の裏側――父親との“出世払い”エピソード

tuki.の名を一躍有名にしたのが、2023年9月29日にリリースされた「晩餐歌」。この楽曲には、家族との微笑ましい裏話が隠されています。

実は「晩餐歌」のレコーディング費用は、父親に「出世払いで」とお願いして捻出したそう。さらに、楽曲のヒントになったのは、父親の「人生は3万日ぐらいしかない」という何気ない一言。「自分はもう5000日過ごしていて、あと2万5000日しかない」と思ったことが、歌詞の根底に流れる“儚さ”や“人生の一瞬の輝き”につながったといいます。

MVのイラストは、tuki.が大ファンだった漫画『約束のネバーランド』の作画・出水ぽすか氏が担当。MV撮影は父親の友人が手伝い、まさに家族ぐるみのサポートで作り上げられた作品です。

顔出しNGの理由と“制服スタイル”の秘密

tuki.の最大の特徴は、顔出しをせずに活動していること。現役高校生として、日常やプライバシーを守りたい思いが強く、クラスメイトにもごく一部しか正体を明かしていないとか。

制服姿で動画に登場する理由も、「中学生だから印象に残るように」とのこと。さらに「私服のセンスでいろいろツッコまれるのも嫌だった」と、等身大の悩みも明かしています。

紅白歌合戦初出場時も、顔が映らないように工夫されたステージ演出が話題に。「クラスメイトは気づいているの?」「カラオケ誘われたらどうするの?」とSNSで盛り上がりました。

Z世代の共感を集める“リアルな歌詞”と日常

tuki.の楽曲が若者に刺さる理由は、リアルな日常や感情を切り取った歌詞にあります。友人との会話や、アニメ・漫画・映画から受けたインスピレーションを大切にしており、『呪術廻戦』『進撃の巨人』『約束のネバーランド』などにハマる“普通の高校生”らしい一面も。

「晩餐歌」や「地獄恋文」など、恋愛や人生の機微を繊細に表現する歌詞は、同世代だけでなく幅広い層から共感を集めています。新曲「地獄恋文」は「思わせぶりな男子に振り回されて“は?”ってなった経験」をもとに書いたとテレビで明かし、スタジオを笑わせました。

“ダメ男好き”も楽曲の肥やし?赤裸々な恋愛観

tuki.はテレビ出演時、自身の「短所」として「ダメ男を好きになる」と告白。思わせぶりな態度や、彼女がいるのにちょっかいを出してくる男子にすぐ引っかかってしまう…と、等身大の恋愛観を語りました。

「意地悪なのにたまに優しくしてくるギャップに弱い」「彼氏を作るのが目標」と赤裸々に語る姿は、ミステリアスなイメージとのギャップでさらにファンを増やしています。こうした恋愛エピソードが楽曲制作にも活かされているのは、まさにZ世代ならではのリアルさです。

SNSバズと“共感”が生む新時代のスター像

tuki.の人気の理由は、SNSでの拡散力と、ファンとの距離の近さにもあります。TikTokでの弾き語り動画は、投稿するたびに数十万、数百万再生を記録。オリジナル曲「晩餐歌」は、リリース前から「音源化してほしい」とコメントが殺到し、YouTubeの弾き語りver.は公開9日で100万回再生を突破。今やMVは8,000万回超え、ストリーミング再生は7億回を超えています。

また、他のTikTokerやYouTuberがtuki.の楽曲をカバーするなど、ユーザー同士の“共創”も人気の一因。自身も「優里」とのコラボや、様々なアーティストとの交流を楽しんでいるようです。

家族の支えと“趣味は妄想”な素顔

tuki.は幼少期からピアノを習い、12歳でギターを始めました。音楽好きの家庭で育ち、両親の影響でNICO Touches the Wallsのライブにも足を運んだとか。

趣味はアニメや漫画、映画鑑賞、夜に公園で友達と遊ぶこと、コスメ集めなど多彩。特技は「寝ること」「妄想すること」「変顔」など、親しみやすい一面も。

「音楽はあくまで趣味として楽しみたい」「静かに暮らしたい」と語るtuki.。第一志望の高校に落ちてしまったものの、今の学校で学業と音楽を両立している努力家でもあります。

「15歳の天才」から「新時代のアイコン」へ

2024年には紅白歌合戦に現役女子高生シンガーとして初出場し、SNSでは「15歳で紅白ってすごすぎ」「同級生だったら震える」と話題沸騰。2025年1月にはファーストアルバム「15」をリリース、Apple Musicで1位を獲得するなど、音楽界の新たなマスターピースとして注目されています。

tuki.のこれから――“月”のように、神秘と共感をまとって

tuki.という名前は「月」の神秘的なイメージから。「昔から好きな存在だった」と語り、今もその名の通り、静かに、でも確実に音楽界を照らし続けています。

「晩餐歌」1周年にはアンサーソング「愛の賞味期限」をリリースし、2025年4月にはTBS系ドラマの主題歌「騙シ愛」も担当。ファンクラブ「月人(つきんちゅ)」もオープンし、ますますファンとの距離が近づいています。

tuki.が生み出す“等身大の歌”と、ミステリアスな素顔。Z世代の共感を集め、SNS時代の新しいスター像を体現する彼女の今後から、ますます目が離せません。

「人生は3万日しかない」――その言葉を胸に、tuki.は今日も“月明かり”のような歌を届けてくれるはずです。

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