皆さんの食卓に欠かせないあの「パリッ」とした音と共に広がるジューシーな肉汁。そう、日本ハムの「シャウエッセン」です。平成30年間でスーパーで一番売れた商品として君臨し、今なお多くの日本人の胃袋を満たし続けているこの国民的ウインナーには、実は知られざる秘密や楽しいエピソードが満載なんです。今回は、そんなシャウエッセンの裏話や最新トレンドをご紹介します!
平成No.1ヒット商品の誕生秘話
日経メディアマーケティングの調査によると、平成の30年間にスーパーで一番売れた商品のトップ3は、第3位「マルちゃん焼そば」、第2位「アサヒスーパードライ」、そして堂々の第1位が「シャウエッセン」でした。この驚異的な売上を誇るシャウエッセンですが、実は発売当初は全く売れなかったという意外な過去があります。
シャウエッセンが日本の食卓に登場したのは1985年のこと。それまでの日本では赤いウインナーが主流だった時代に、日本ハムは「本場ドイツに負けないウインナーを作ろう」と開発に着手します。実はこの背景には「成田空港の完成」があったといいます。海外旅行が増え、食の本格化が進むだろうという見通しのもと、開発メンバーが何度もドイツに足を運び、本場のウインナーを研究したのです。
しかし、いざ発売してみると…まったく売れませんでした。お弁当用の赤いウインナーに比べて値段が高いこともあり、消費者はその価値に気づかないままスルーしてしまったのです。ここで日本ハムが取った戦略が画期的でした。「美味なるものには音がある」というキャッチコピーを掲げ、店頭で丸々1本のシャウエッセンを試食提供するという大盤振る舞いをしたのです。
この作戦は大成功。発売初年度に100億円、翌年には260億円という驚異的な売上を記録しました。スーパーでの試食販売を広めたのもシャウエッセンが先駆けだったというから驚きです。
「パリッ」へのこだわりと隠し味の秘密
シャウエッセンの最大の特徴といえば、あの「パリッ」という食感。このパリッ感を生み出すのは、天然の羊腸を使用しているからなんです。当時の一般的なウインナーは人工の皮やそもそも皮がないものが主流でした。しかし、本場ドイツのウインナーに習い、シャウエッセンは天然の羊腸を採用。これが「パリッ」という食感を生み出す秘密だったのです。
各工場では「パリッ」を科学的に測定する専用機械があり、毎日「官能検査」と呼ばれる試食チェックを実施。温度や湿度によって日々条件が変わるため、実際に食べてその品質を確かめているそうです。まさに「パリッ」へのこだわりがすごい!
そして意外と知られていないのが、シャウエッセンの隠し味。従来の家庭用ウインナーには鶏肉や魚肉なども使われていましたが、シャウエッセンは粗挽きの豚肉のみを使用。そこに隠し味として加えられるのは、粉末状の「水飴」なんです。本場ドイツのソーセージはビールのつまみとして食べるため塩気が強いのが特徴ですが、シャウエッセンは日本人がご飯のおかずとして食べることを想定し、うまみを引き出す水飴を加えました。この日本人好みの味わいが35年間一切変わっていないというのも驚きです。
「シャウエッセンの掟」を破った大改革
実はシャウエッセンには長年、「味や規格を変えない」という社内の不文律が存在していました。ロングセラーに育てた成功体験から、あえて変えないという方針を貫いてきたのです。
しかし、2018年頃からこの「掟」に風穴が開きました。それまでプレーンのシャウエッセンのサイズ違いを販売していた戦略を転換し、シャウエッセンを使ったピザに続き、2019年には「ホットチリ」やチーズを練り込んだ「チェダー&カマンベール」といった味のバリエーションを展開。これらがヒットしてコロナ下の販売増を支えたのです。
さらに2025年2月には、「パワ辛」と「おいちぃず」という新フレーバーの新CMも公開されました。「パワ辛」は魚醤の隠し味によるあとひく旨さで繰り返し食べたくなる味わいに、「おいちぃず」はチーズの配合を見直し、濃厚かつクリーミーなとろけるチーズの味わいを実現したとのこと。子どもから大人まで幅広く楽しめる商品展開は、シャウエッセンの新たな魅力を引き出しています。
ファンの間で話題!「神引き」の超長ウインナー
シャウエッセンファンの間で時々話題になるのが「神引き」と呼ばれる現象。通常のウインナーよりも異様に長いウインナーが入っていることがあるのです!
2024年12月には、あるユーザーがシャウエッセンを購入したところ、他のものと比べて1.5倍ほど長いウインナーが入っていたという投稿がSNSで話題になりました。この投稿には「今年一番笑いました」「確かにこれは神引き」「もはやUR(ウルトラレア)」などのコメントが寄せられ、13万件以上の「いいね」がついたそうです。まるでソーシャルゲームのガチャでSSR(ダブルスーパーレア)を引き当てたような興奮を呼ぶこの現象、あなたも遭遇したことはありますか?
最新トレンド!異色のコラボレーション
2025年4月には、シャウエッセンとハウス食品のバーモントカレーがコラボした「バーモントシャウカレー」が登場。「最高の組み合わせ」として話題になっているこのコラボレーション。CMでは「シャウエッセン÷バーモント」という数式が登場し、その答えが「15」であるという謎のメッセージも話題を呼んでいます。
また、シャウエッセンには「シャウスライス」という関連商品もあり、シャウエッセンと組み合わせることで「食べ応えが1.8倍くらい増加する」という楽しい使い方も話題に。様々な食べ方が提案されており、シャウエッセンの世界がどんどん広がっています。
誰もが知らないシャウエッセンの名前の由来
「シャウエッセン」という名前の由来を知っていますか?実はドイツ語で観劇を表す「シャウ(schau)」と、食卓を表す「エッセン(essen)」を合わせた合成語なんです。商品名はドイツ語の「観る(シャウ)」と「食べ物(エッセン)」を組み合わせたもので、味わうだけではなく、見た目も楽しめる本場ドイツのウインナーとして食卓の定番になったのです。
最近のシャウエッセン事情
Yahoo!ショッピングの人気ランキングを見ると、2025年4月時点でシャウエッセンの1150gの大容量パックが1位を獲得。コストコでも販売されている大容量タイプは、家族で楽しむ定番商品となっています。また、「パワ辛」と「おいちぃず」も上位にランクインしており、新フレーバーの人気ぶりがうかがえます。
ふるさと納税の返礼品としても人気で、シャウエッセン5袋セットが香川県坂出市や茨城県筑西市のふるさと納税商品として提供されています。全国のシャウエッセンファンを喜ばせています。
まさかの「ご長寿ビデオレター」でも話題に
2023年末には、明石家さんまさんが司会する「からくりTV」の「ご長寿ビデオレター」というコーナーでシャウエッセンが話題になりました。98歳になるツヤ子さんが、戦争で何もかも失った24歳の自分に向けて「終戦から40年たった1985年、あなたを幸せにしてくれる食べものと出会いますよ」と語りかけ、その正体が「シャウエッセン」だと明かすシーンが話題に。「よくできたウィンナーです」「楽しみに待ってなさーい♪」というメッセージはSNSでトレンド入りするほどの反響を呼びました。
シャウエッセンは家族の思い出
シャウエッセンは多くの家庭の食卓に並び、様々な思い出を作ってきました。「父が『肉そのものを食べればよいのにわざわざ加工肉を食べる意味がわからない』という人だったので、ウィンナーソーセージを食べる機会が少なかった」という方が、大人になってから新潟の親戚の家で朝食に出されたシャウエッセンに感動し、「パリッとジュワッと、おいしく感じた」とハマってしまったエピソードも。
また、シャウエッセンを作っている日本ハム北海道ファクトリーは子どもたちに人気の工場見学スポットで、2カ月先まで予約が埋まっているそうです。家族で楽しむ食育の場としても親しまれています。
シャウエッセン、これからの展開は?
日本ハムは食肉業界の最大手で、国内で流通する牛・豚・鶏の食肉のうち約2割が日本ハムの商品だといいます。スーパーの精肉売り場に並ぶ多くの商品や、「焼肉きんぐ」「餃子の王将」などの外食チェーンにも肉を卸していることは意外と知られていません。
そんな日本ハムが50年以上も前から続けている取り組みが「食の未来委員会」。社外モニターが1年間、日本ハムの商品を試食して評価するというものです。消費者の声を大切にし、商品改良を続けることで、シャウエッセンは今後も進化を続けていくことでしょう。
今や平成を代表する国民食となったシャウエッセン。その裏には開発者たちの情熱と、日本人の味覚に合わせるための試行錯誤がありました。これからも私たちの食卓を「パリッ」という音と共に彩り続けてくれることでしょう。あなたも今夜のおかずにシャウエッセンはいかがですか?