SNSを舞台にした「投資詐欺」や「ロマンス詐欺」が、2025年も全国で急増中です。警察庁の最新データによれば、2024年の被害総額は277億円超、1件あたりの平均被害額は1,000万円を超える深刻な状況となっています。なぜこれほどまでに被害が拡大しているのか?その裏側には、巧妙化する手口と人間心理の隙を突く“劇場型”の詐欺シナリオが隠れています。
SNS型投資詐欺の手口と“信じてしまう”心理
SNS型投資詐欺は、FacebookやInstagram、LINE、X(旧Twitter)などのSNSやマッチングアプリを通じて、著名人や投資家を名乗る人物が「必ず儲かる」「特別な投資グループに招待します」と甘い言葉で近づいてきます。
- 最初は少額で“利益”を体験させる
例えば、最初に5万円を投資すると、数日後に「配当金」として6万円が戻ってくる。これで「本当に儲かる」と信じ込ませ、次は100万円、500万円と金額を吊り上げていきます。 - 偽の投資アプリやグループチャット
投資専用アプリやグループチャットに誘導し、サクラ(偽の投資家)が「私は1,000万円儲かった!」と投稿。被害者は「自分も」と思い込み、さらに大金を振り込んでしまうのです。 - 出金できない“出口詐欺”
利益が出たはずなのに「出金には手数料が必要」「税金がかかる」と追加送金を要求。最終的に連絡が取れなくなり、全額失うケースがほとんどです。
実際のエピソード
- 60代男性が著名人を名乗るSNS広告をクリックし、投資グループに参加。最初は少額の利益が出たが、最終的に6,300万円をだまし取られた。
- 70代女性は「倍増プラン」「上位クラスでの取引」などの名目で4,500万円を失い、最後は「監督当局によって資金が差し止めされている」と言われて出金できなくなった。
SNS型ロマンス詐欺の“恋愛劇場”と投資誘導
ロマンス詐欺は、SNSやマッチングアプリで知り合った相手と、恋愛感情や親近感を育てながら金銭をだまし取る手口です。
- 恋愛感情を利用した“将来のための投資”
「結婚資金を一緒に貯めよう」「2人の将来のために投資しよう」と持ちかけ、暗号資産や投資話に誘導。最初は利益が出たように見せかけ、次第に高額な投資を要求します。 - “助けてほしい”と繰り返し要求
生活費や治療費、弁護士費用など、さまざまな名目で何度も送金を求められ、最終的に連絡が途絶えるパターンも。
実際のエピソード
- 沖縄県の50代女性は、外国人男性から「結婚資金のため」と投資話を持ちかけられ、21回にわたり合計3,800万円を振り込んだが、連絡が取れなくなった。
- 60代男性はSNSで知り合った女性に暗号資産投資を勧められ、最初に数万円の配当金を受け取ったことで信用し、最終的に245万円を失った。
SNS詐欺が急増する“裏側”と巧妙化の実態
- SNSの普及とアルゴリズムの罠
SNSの利用率は全年代で80%超。投資や恋愛関連の投稿に反応すると、類似コンテンツが次々と表示され、詐欺グループの“ターゲティング”が加速します。 - 組織的な“劇場型詐欺”
詐欺グループは役割分担が徹底され、サクラや偽の投資家、アシスタント役など複数人が登場。被害者の心理を巧みに操り、信じ込ませる“劇場型”の手口が主流です。 - 被害者の心理的ハードルの低さ
オンライン上のやりとりは気軽で、相手の素性を深く疑わずに信じてしまいがち。恋愛や投資の話は他人に相談しにくく、被害に気づくのが遅れる傾向があります。
2025年の最新動向と“被害者のリアル”
- 2025年1月だけで被害総額は1億6,500万円超、年間では28億円を突破。
- 被害者は50~70代が中心。1億円超の被害も珍しくなく、人生の貯蓄を一瞬で失うケースも。
- 「最初は本当に儲かった」「恋人ができたと思った」――信じてしまった被害者の声が後を絶ちません。
まとめ:SNS詐欺の“甘い罠”にご用心
SNS型投資・ロマンス詐欺は、現代の人間関係や投資ブーム、SNSの仕組みを巧みに利用した“新時代の詐欺”です。
「SNSで知り合った相手から投資やお金の話が出たら、必ず詐欺を疑う」――これが鉄則です。
もし少しでも不安を感じたら、家族や友人、警察にすぐ相談しましょう。
あなたの“信じる心”が、詐欺師たちの最大の武器になってしまうかもしれません。
SNSの裏側には、あなたの“心の隙”を狙う巧妙な罠が潜んでいます。今一度、冷静な目でSNSのやりとりを見直してみてください。