鴻海のEV事業トップ・関潤氏の知られざるエピソード

鴻海のEV事業トップ・関潤氏の知られざるエピソード

 台湾の電子機器大手、鴻海精密工業(ホンハイ)のEV事業を率いる関潤氏は、日産自動車や日本電産(現ニデック)でのキャリアを経て、現在はグローバルなEV市場で注目を集める存在です。彼の歩んできた道には、多くのドラマや興味深いエピソードが隠されています。本記事では、関氏のキャリアの裏話や彼が描く未来像に迫ります。

関潤氏のキャリアと転機

 関潤氏は1986年に日産自動車に入社し、ルノー傘下での日産再建に尽力しました。その後、中国市場で東風汽車の社長を務めるなど、グローバルな視点で活躍。2018年には日本電産に移籍し、社長やCEOを歴任しましたが、2022年には業績未達を理由に辞任を余儀なくされました。

この辞任劇は業界内でも話題となり、「次はどこへ行くのか」と注目される中、2023年に鴻海へ電撃移籍。彼の移籍先が鴻海だったことは、日本電産とのEVモーター事業での提携関係もあり、皮肉な展開として語られることもあります。

鴻海での挑戦:MIHプラットフォームとアップルカー

 鴻海では、EV事業のオープンプラットフォーム「MIH」を活用し、多くの企業と連携して競争力あるEVを開発する戦略を推進しています。このプラットフォームは、短期間で効率的にEVを製造できる仕組みとして注目されています。

さらに、鴻海はアップルが開発中とされる「アップルカー」の受託生産先として有力視されており、このプロジェクトが実現すれば、スマートフォン市場で築いた成功モデルをEV市場でも再現する可能性があります。

「海賊ではない」発言の真意

 関氏は最近のインタビューで、「我々は海賊ではない」と述べ、日本市場や日系メーカーとの協業に前向きな姿勢を示しました。この発言には、「既存メーカーからシェアを奪う存在ではなく、共存共栄を目指す」というメッセージが込められています。

また、「エンジン車には全く興味がない。我々はEV屋だ」と断言し、自身のビジョンを明確にしています。この姿勢は、新しい価値観と技術革新への挑戦を象徴するものです。

裏話:日産との再接近と三菱自動車との提携

 関氏は日産自動車との協業にも意欲的ですが、その背景には複雑な人間関係があります。日産時代に培ったネットワークがある一方で、日本電産時代には日産との距離が広がったとも言われています。現在は三菱自動車との提携が進む中で、日産との再接近も模索しているようです。

特に三菱自動車との協業では、オセアニア市場向けEV供給計画が進行中。これにより、日本メーカーとの協力体制を強化しつつ、グローバル展開を加速させています。

関潤氏から学ぶリーダーシップ

 関氏のキャリアには「逆境からの復活」というテーマが貫かれています。日本電産での辞任後も、新たなフィールドで挑戦し続ける姿勢は、多くのビジネスパーソンにとって示唆的です。また、彼が掲げる「水平分業型」のビジネスモデルは、自動車業界だけでなく他分野にも影響を与える可能性があります。

まとめ

 関潤氏は、その豊富な経験と大胆な戦略で鴻海精密工業のEV事業を牽引しています。彼の挑戦は単なる個人の成功物語に留まらず、自動車業界全体に新たな潮流を生み出す可能性があります。今後も彼の動向から目が離せません。

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