嵐、2026年5月活動終了へ 語られなかった舞台裏と5人の葛藤

 嵐ファンにとって地震が走った2025年5月6日。大野智、櫻井翔、相葉雅紀、二宮和也、松本潤の5人が揃って、来年春のコンサートツアーをもって活動を終了すると発表しました。多くのメディアが「解散」と報じる中、メンバーは一貫して「活動終了」という言葉を選びました。ファンの涙と感謝の声が溢れる中、この決断に至るまでの知られざる舞台裏と5人の葛藤を紐解いていきます。

突然の発表と「活動終了」という言葉の裏側

 5月6日夕方、嵐のファンクラブサイトに動画がアップロードされました。約4年半ぶりに5人揃った姿で、来年春頃にコンサートツアーを開催し、2026年5月いっぱいで活動を終了することを自らの言葉で伝えました。

注目すべきは、メンバーが「解散」ではなく「活動終了」という言葉を使ったことです。この言葉選びに、ファンは深い意味を感じ取りました。「嵐は活動終了ってことで嵐としての活動は終えても嵐はあるって解釈できるのは本当に泣ける」「その言葉を選んだのはファンの皆さんに対する心遣いなんだろうなって思うと、素敵だなって思う」といった感謝のメッセージがSNS上で溢れました。

活動終了というワードには、5人の絆は終わらないという強いメッセージが込められています。これは2019年の活動休止発表時、「5人でなければ嵐ではない」と語った二宮和也の言葉と通じるものがあります1。

1年半にわたる話し合いと導き出された結論

 発表によると、約1年半前から折を見て5人で集まり、「もう一度嵐として活動する」ことについて話し合いを重ねてきたとのこと。しかし、各メンバーの環境や価値観が変化する中で、その答えにたどり着くことは簡単ではなかったようです。

「時間をかけて、何度も話し合いを重ね、みんなで出した結論は、もう一度集まって、嵐としてのコンサートを行い、コロナによって叶えられなかった、ファンの皆さんに”直接感謝を伝える””直接パフォーマンスを見てもらう”ということをもって、5人での活動を終了するということでした」と、その決断の経緯を説明しています。

芸能関係者は「昨年、記念イヤーを迎えており、今年、周年コンサートの期待は高まっていたが、早々に動き出す前にメンバーのスケジュールが埋まった。5人の活動にこだわる5人がそろってステージに上がれるのが来春だったということでしょう」と話しています。5人全員のスケジュールを合わせること自体が、すでに容易ではない状況だったのです。

大野智の心の変化と「5人で集まる」への執着

 活動休止の発端となったのは、リーダー・大野智の「自由な生活がしてみたい」という思いでした。2019年1月の活動休止発表会見で大野は「この世界を一度離れてみて、今まで見たことのない景色を見てみたい。(休止の期限は)わからない」と語っていました。

実は大野は、ジャニーズ事務所入所当初から「ジャニーズを辞めたい」という引退願望を持っていたとされ、2017年頃からその思いが強くなっていたと言われています。しかし、ファンの存在を考慮し、完全な引退ではなく活動休止という形を選んだとのこと。

興味深いのは、2024年4月に「株式会社嵐」設立のため大野も参加し、約1200日ぶりに肉声が報道された際のエピソードです。この時大野が記者の質問に答える中で4度も繰り返したのが「5人で集まる」という言葉だったのです。

「5人が集まることはなかなかないから、僕が合わせるって感じ」「5人で集まれる形は作ってるので」「5人で集まる形を作ったということで、すごく期待されちゃったみたいなことはある」「いま明言はできないけど、必ず5人で集まって話をします」と語った大野。当初「とにかく辞めたい」と思っていた大野が、3年で一転して「5人で集まる」ことに執着するようになった心変わりが見て取れます。

それぞれの道を歩み始めた5人の現在地

 活動休止中、メンバーはそれぞれの道を歩み始めていました。二宮和也は事務所を独立し俳優業に専念、櫻井翔はニュースキャスターとしての地位を確立、松本潤は映画監督としての新境地を開拓、相葉雅紀はバラエティ番組のレギュラーを増やしていました。

特に松本潤は、活動終了発表の前日まで座長を務めた舞台「ロンドン公演」を行っており、声がガラガラになりながらも見事に演じ切ったと報じられています。櫻井翔も同日放送の「news zero」で「停泊中の船に再び大きな帆を張ったような感覚」とコメントを寄せました。

このように、各メンバーが新たなフィールドで活躍する中、「5人で」のグループ活動を再開することの難しさが浮き彫りになっていました。個々の活動が本格化し、グループ活動との両立が困難になる中、それぞれの道を尊重し合いながらも、一度きちんと区切りをつけるという選択が自然な流れとなりました。

嵐を支えてきた不文律「一人がイヤならやらない」

嵐の25年にわたる長い活動を支えてきた重要な不文律の一つが「一人がイヤだと思ったことはやらない」というルールだったと言われています。今回の活動終了の決断も、このルールに則って5人全員が納得する形で導き出されたのでしょう。

2019年の活動休止発表時、櫻井翔は「誰か一人の思いで嵐の将来を決めるのは難しいと思うのと同時に、他の何人かの思いで誰か一人の人生を縛ることもできない」と述べていました。この言葉には、メンバー一人一人の人生や選択を尊重し合う嵐の姿勢が表れています。

「株式会社嵐」の行方と25周年の意義

昨年11月3日、嵐はデビュー25周年を迎え、さまざまな記念企画を発表していました。ライブDVDのBlu-ray化や全国のユナイテッド・シネマでの上映イベント「ARASHI FILM CONCERT TOUR 2024-2025」の開催、歌絵本「君のうた」の発売などが予定されていました。

また、2024年4月に「株式会社嵐」を設立し、未来を描くための準備を進めていると発表していました。しかし、解散発表を受けて「株式会社嵐」も同時終了するとの報道もあります。設立からわずか1年で終了することになる会社の行方も注目されています。

活動終了発表に見るファンへの配慮

 発表のタイミングについても、嵐らしい配慮が感じられます。ある芸能関係者は「ゴールデンウイーク最終日で明日の仕事や学校がある人へサプライズとして届けたかったのかもしれないですね」と話しています。

また、解散発表に際して大野智がヒゲを全剃りし、活動休止前の姿に戻ったことも話題になりました。これを「リーダーの覚悟」と捉えるファンも多く、最後まで嵐としての責任を全うする大野の姿勢が感じられます。

最後のコンサートへの期待と嵐の遺産

 来年春に予定されている最後のコンサートツアーは、嵐が日本の音楽シーンに残した大きな足跡を総括する機会となるでしょう。特に2020年末の活動休止前、コロナの影響で有観客ライブができなかったことを踏まえると、このラストツアーには特別な意味があります。

櫻井翔は「嵐活動休止前、最後の1年、コロナの影響で有観客のライブを行うことがかないませんでした。ファンの皆さまに直接感謝の思いを届けるコンサートツアーを来春行うために私たちは、動き始めます」とコメントしています。

25年にわたり日本の音楽シーンをけん引してきた嵐が残した影響は計り知れません。GACKTも「嵐は日本を支えた、真に日本を代表するアイドル」とコメントしています。

終わりに:「活動終了」を超えて

 「解散」ではなく「活動終了」という言葉を選んだ嵐。その意味するところは、5人の絆は永遠に続くということなのかもしれません。活動終了後も、5人それぞれの道を応援し続けるファンの姿こそが、嵐が25年かけて築いた最大の財産と言えるでしょう。

嵐が再び大海原に帆を立て、最後の航海に出る2026年春。ファンと共に歩んだ四半世紀の旅を締めくくる感動のフィナーレになることは間違いありません。活動は終わっても、嵐が紡いできた物語とその精神は、これからも多くの人々の心に生き続けるでしょう。

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