アシックスの常務執行役員CFO(最高財務責任者)林晃司氏。経営改革の旗手として注目を集める彼ですが、そのキャリアや実績だけでなく、出身地や学歴、そして人間味あふれるエピソードにも迫ります。今回は、林氏のルーツから現在に至るまでの軌跡と、彼の素顔に迫る“トレンドブログ完全版”です。
出身地と学歴――グローバル感覚の原点
林晃司氏は兵庫県神戸市を拠点に活躍していますが、出身地に関しては公式な記載は見当たりません。ただし、現在もアシックス本社のある神戸を拠点にしており、地元企業への強い愛着と責任感を持っていることがうかがえます。
学歴については、国内外で多彩な経験を積んでいます。まず、早稲田大学で公共経営の修士号(Master of Public Administration, M.P.A.)を取得。その後、米国ニューヨーク市立大学バルーク校(City University of New York-Baruch College)でMBA(経営学修士、Finance専攻)を修了しています1。このグローバルな学びの経験が、のちの国際的なファイナンスやガバナンス構築、IR戦略に大きく生かされているのです。
異色のキャリアが生んだ「改革のDNA」
林氏は米国での大学院修了後、PwCニューヨーク事務所での勤務経験を持ち、国際税務やM&A、企業再編など多岐にわたる案件を担当しました。その後は自動車部品メーカーや電子部品メーカーでファイナンス企画や資金創出力の改善、グローバルガバナンスの構築に従事。2015年にアシックスへ中途入社し、グローバルCMS導入や財務ガバナンスの強化、直接金融を用いたファイナンス企画など、企業変革の最前線に立ち続けています。
「机に足を上げられた」屈辱からの逆襲
IR活動初期、業績低迷期のアシックスは投資家から厳しい対応を受けることも。林氏が「机に足を上げられた」屈辱をバネに、IR改革を断行。国内外の投資家・アナリストと年間1800件以上の面談を重ね、政策保有株の全売却や海外機関投資家比率の拡大など、資本市場との対話を徹底しました。その結果、アシックスの時価総額は7年半で約8倍、2.4兆円規模にまで成長しました。
「個人投資家をファンに」――IRの新境地へ
林氏は「個人投資家をアシックスのファンにする」ため、全国7都市でのIR説明会や個人投資家向けのメール配信など、地道なファンづくりも推進。「株主も“アシックスファミリー”」という発想で、スポーツブランドらしい一体感を生み出しています。
アシックス復活の舞台裏――駅伝シューズゼロからの快進撃
2014年以降、箱根駅伝での着用者ゼロという屈辱を味わったアシックス。しかし林氏ら新経営陣が抜本的な改革を断行し、2022年には24人ものランナーがアシックスシューズを着用。現場の声を徹底的に聞き、パーソナライズされたものづくりを推進したことが、商品力とブランド力の復活につながりました。
意外な素顔――NFLオタクの一面も
ビジネスの現場では冷静沈着な林氏ですが、実はアメリカンフットボール(NFL)の大ファン。暇さえあればNFLの試合を観戦する“筋金入り”のファンとして知られています。グローバル戦略やスポーツへの情熱の源泉は、こうしたスポーツ愛にもあるのかもしれません。
「健全な身体に健全な精神を」――創業哲学と未来への挑戦
林氏が大切にしているのは、アシックス創業者・鬼塚喜八郎の「もし神に祈るならば健全な身体に健全な精神があれかし(ANIMA SANA IN CORPORE SANO)」という哲学。この理念を受け継ぎつつ、2030年に向けたビジョン策定や健康寿命の延伸、サステナビリティ経営にも力を注いでいます。
林晃司氏の“人間力”がアシックスを動かす
現場主義、変革志向、スポーツ愛、そして屈辱をバネにする粘り強さ――林晃司氏の人間力が、アシックスのV字回復と成長の原動力となっています。グローバルな学歴と経験を持ちつつ、地元・神戸への愛着と責任感を胸に、社員や投資家、アスリート、ファンを“アシックスファミリー”として巻き込む求心力は唯一無二。これからも林晃司氏とアシックスの挑戦から目が離せません。