劇場版『名探偵コナン 隻眼の残像』—氷雪の記憶が甦る、シリーズ屈指のシリアスミステリー

 2025年4月18日、劇場版『名探偵コナン』シリーズ28作目となる『名探偵コナン 隻眼の残像(せきがんのフラッシュバック)』がついに公開されました。原作30周年を迎え、シリーズ史上最高の興行収入を記録した前作『100万ドルの五稜星』の熱気をそのままに、今作も公開初日から深夜0時の最速上映が実施され、チケットは即完売。コナンファンの熱量の高さが劇場を包み込みました。

長野県警トリオにスポット!舞台は雪深き八ヶ岳連峰

 今作の舞台は長野県・八ヶ岳連峰未宝岳。メインキャラクターとして長野県警の大和敢助(やまと かんすけ)、諸伏高明(もろふし たかあき)、上原由衣(うえはら ゆい)が大きくフィーチャーされています。特に敢助は、雪山での事件で左目を失い隻眼となった過去が掘り下げられ、彼のトレードマークである眼帯と杖の由来が明かされるなど、ファン待望のエピソードが盛り込まれています。

原作では「雪崩で負傷した」としか語られていなかった敢助の過去が、ライフルによる狙撃という新事実とともに描かれるのは、まさに劇場版ならではの大胆な掘り下げ。敢助の過去と「隻眼」というテーマは、黒田兵衛や脇田兼則(ラム)といったシリーズの重要人物たちの因縁ともリンクし、今後の原作展開への布石では?とファンの間で考察が盛り上がっています。

眠りの小五郎、覚醒!大人の渋さが光る

 本作のもう一人のキーパーソンは、毛利小五郎。普段は“眠りの小五郎”としてコミカルな存在感を放つ彼ですが、今回は警視庁時代の同僚“ワニ”刑事との約束、そして敢助の事件に真正面から向き合うシリアスな姿が描かれ、ファンから「覚醒したおっちゃんが見られる!」と大きな話題に。

特に終盤、小五郎が自ら銃を手に事件解決に挑むシーンは、劇場版ならではの熱い展開。『14番目の標的』以来となる小五郎の“発砲”もあり、長年のファンには胸熱のサプライズとなりました。

公安・安室透、風見裕也も暗躍!組織との因縁も

 事件の背後には公安警察の影も。安室透(降谷零)や風見裕也が絡み、公安の隠れメンバーが事件のカギを握るなど、ただの雪山ミステリーにとどまらない多層的なストーリーが展開。コナンが安室と連携し、公安の情報網を活用しながら事件に挑む姿も見どころです。

また、事件の真相には司法取引や法改正といった社会的テーマも織り込まれ、シリーズ屈指の“渋い”大人向けミステリーに仕上がっています。

制作裏話—監督初挑戦の重原克也氏と青山剛昌先生のこだわり

 監督は『ゼロの執行人』『黒鉄の魚影』で演出を務めた重原克也氏。今回が初監督作となり、脚本は『相棒』や『科捜研の女』で知られる櫻井武晴氏が担当。制作初期は「まだ再来年の監督が決まっていないので…」という世間話から始まったものの、青山剛昌先生の許可を得て正式にオファーが決定。重原監督は「青山先生にお会いしてから気が引き締まった」と語っています。

青山先生自ら原画シーンを選定したり、脚本の会話が多くなりすぎないようプラネタリウム会場を舞台にするなど、映像面で飽きさせない工夫も随所に。シリアスな会話や難解な単語が続く場面も、アニメらしい映像演出でテンポよく見せることに成功しています。

ファンの熱狂と「チケット戦争」の裏側

 本作は公開4日前の0時にチケットが発売されると、即完売劇場が続出。発売30分前から待機し、何とかチケットを手にしたファンたちが“戦士”として劇場に集結する様子は、まさにコナン映画ならではの恒例行事。最速上映の熱気は、シリーズの人気とファンの愛情の深さを物語っています。

ゲスト声優&主題歌も話題

 ゲスト声優には山田孝之と山下美月が参加。主題歌はKing Gnuの「TWILIGHT!!!」が作品の世界観を盛り上げます。

まとめ—「隻眼」がつなぐ過去と現在、そして未来

 『隻眼の残像』は、敢助のトラウマと再生、公安や組織との因縁、そして小五郎の覚醒など、シリーズの新たな一面を見せてくれた意欲作。事件の真相が明かされるたび、観客の間にどよめきが走り、最後には「今を生きることの大切さ」というメッセージが心に残る、骨太なミステリーに仕上がっています。

劇場版コナンの新たな伝説を、ぜひ劇場で体感してみてください。

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