古田敦也といえば、ヤクルトスワローズのレジェンド捕手であり、首位打者やゴールデングラブ賞を獲得し、監督としても活躍した野球界の重鎮です。メガネをかけた独特の風貌から「のびた君」の愛称で親しまれた古田さんですが、その華やかな活躍の裏には、意外な苦労や笑えるエピソードが数多く隠されています。2025年3月、古田さんが中学時代のいじめ体験について新たに語ったことで、再び注目を集めています。
メガネ捕手の誕生秘話
古田さんといえば、メガネをかけた捕手というイメージが強いですが、実はドラフト時にはこのメガネが弱点視されていました。当時のスカウト部長が野村克也監督に「いい捕手がいるのですが、メガネをかけているんです…」「打撃には目をつぶってもらえますか」と言ったとされています。
この逸話について野村監督は後に「メガネをかけていても問題は無いと言って古田を獲得するよう命じた」と述べています。さらに「今、コンタクトもあるし、レンズも軽量化して問題じゃないのに、そんなこと言う訳ない。あれには参った」と大笑いしたエピソードも。
古田さん自身もテレビ出演時に「高校時代にコンタクトレンズを進められたこともあったが、乱視が強くてメガネじゃないと補正できない」と説明しており、のびた君の愛称と共に、メガネ姿が彼のトレードマークとなりました。
「いじめられて転校組です」中学時代の苦難
2025年3月19日、古田さんはYouTubeチャンネル「SHOVEL SPORTS」の長編インタビュー動画で「僕はいじめられて転校組です」と衝撃の告白をしました。
「同級生にいじめられたというんじゃないですよ。先輩に。目障りだったんじゃないですか」と古田さん。真面目に物事に取り組むタイプだった彼は、いわゆる「ヤンキー」が多かった時代の野球部で先輩に目をつけられてしまったそうです。
ABEMAの番組でも「僕は特に野球が上手かったので地元の中学校で先輩からよくいじめられた」と明かし、「1Lコーラを買ってこい」と言われ一気飲みを強要されたり、砂利道に正座させられて上を歩かれたり、殴る蹴るなどの暴力もあったと語っています。
耐え続けていましたが、いじめはエスカレートし、学校の教員も見て見ぬふりをする状況。ついに中学1年生の1学期で野球をやめようと決意したところ、「周りの大人が、辞めるなと」救いの手が差し伸べられました。
「いい大人に出会ったと思います」と古田さん。周囲の勧めで中学1年生の夏に転校したことで、再び野球を続けることができたのです。
「怒られるなら近くに座ろう」野村監督との名物エピソード
プロ入り後、古田さんは野村克也監督のもとで才能を開花させますが、その関係は最初から順風満帆というわけではありませんでした。
試合中に野村監督からリード面で度々説教を受けていた古田さんですが、ここでも彼の個性が光ります。「どうせ怒られるなら近くにいようと思って『すいませんここに座らせてください』と言って近くに座るようになりました」と、ポジティブな対応を見せたのです。
さらに、野村監督から説教された内容が実際の配給と違っていたことに気づき「こいつ大した奴じゃないな」と思ったこともあったようです。
しかし、古田さんは後に「その時に違う指揮官だったり『力と力のガチンコだ』とかばっかり言われていたら僕もそういう選手になっていた」「頭を使えと『頭使えたら弱いやつでも勝てる』という考えだったので…非常に勉強になりました」と野村監督の指導が自身の野球観を変えたことを語っています。
「断る事に野村監督から怒られていた」転機のエピソード
プロ入り当初の古田さんは、野村監督の指示に対して「このままだとおかしくなる」と思い、ある方針を決めます。「逆らわない」「自分でコントロールできないことは考えない」「ルーティーンは作らない」というものでした。
この判断こそが、後の彼の成功を支えたのかもしれません。1991年には打率3割4分で首位打者を獲得し、野村克也氏以来2人目、セリーグでは初の「保守で首位打者」という快挙を達成しました。
また、同年には12人連続盗塁阻止という記録も樹立。ただし、阪神の岡田明信に盗塁を許して記録がストップしたのですが、面白いことに同年の岡田の盗塁数はこの1回だけだったそうです。
キャッチング技術の神髄
「古田さんのキャッチングは、手で捕っているというよりも下半身で捕られているように見える」と後に阪神の捕手となる矢野燿大は評しています。
「右バッターのアウトサイドにボールが来ると、古田さんの場合、上半身の体勢はそのままで、下半身だけがアウトサイドに寄っていく。で、キャッチングの瞬間、フッと身体が内に寄る。手じゃなくて身体が寄るんです」
このテクニックにより、「ミットを動かさずにボールと判定されてもおかしくない球をストライクに見せる」キャッチング技術を持ち、「だから、審判にも絶対にストライクに見えるんです」と絶賛されています。
モノマネ上手な意外な素顔
2023年のYouTube「フルタの方程式」公開後には、ドリームマッチで中村紀洋のフォームを真似して見事ヒットを打ったエピソードも明かされました。こうした一面を持つ古田さんは、引退後、YouTubeでの活動でも多くのファンを魅了しています。
「フルタの方程式」は開設から約2週間で登録者5万人を超える人気ぶりで、球界のレジェンドたちとの対談や秘話を紹介し、視聴者の声にも丁寧に応える双方向な姿勢が評価されています。
「逃げではなく環境を変えること」子どもたちへのメッセージ
いじめを経験した古田さんは、今の子どもたちに向けて「いじめられて環境悪かったら僕は逃げたらいいと思ってる」と率直に語ります。
「環境を変えることを逃げるだと言う人もいますけど、それでも新しい環境に変えてやった方がいいと思っています」と強調し、「いい大人に出会ってほしい」というメッセージを送っています。
いじめ被害者の子どもたちには「相談ができないままに、いじめがより望ましくない結末を迎えてしまうケースもある」と指摘し、「それを察知して、できる範囲でと言いますか、できる範囲を超えているのかどうか分からないですけど、それをやってやるっていうのが大人の仕事だと思います」と大人の役割についても言及しています。
メガネ姿で常に冷静沈着に見えた古田敦也さんですが、その裏には壮絶な経験や笑いのエピソードが隠されていました。野球を諦めず、困難を乗り越えて日本を代表する捕手となった彼の姿は、今も多くの人に勇気を与え続けています。YouTuberとしての新たな挑戦も注目を集める古田さん。これからも彼の新しい一面を見せてくれることでしょう。